どの街にも「嫌われ者」が必ず存在する。しかし、彼もまたそうであったが、それは不幸な家庭環境ゆえの人格形成のなれの果ての哀れな姿だったのだ 。だが、この世は「諸行無常」である、浮かんだ者はやがて沈みゆくのが運命であり、沈んだ者はやがて浮かび上がるのが定である。創造主は例外を許さぬ、例えそれが見目麗しき聖母であっても、またそれが悪臭漂う醜き餓鬼であろうとも。全ての生命は等しく尊い存在なのだから…